2016/05/07

アメリカ4月雇用統計(2016年)は非農業雇用が市場予想下振れの+16万人に

米4月雇用統計が5月6日に発表されました。

非農業部門雇用者数 +16.0万人(市場予想+20.0万人。前月分は+20.8万人、前々月分は+23.3万人に修正)

失業率 5.0%(市場予想4.9%)

非農業部門雇用者数の推移は、

米非農業部門雇用者数の推移のグラフ2015年5月~2016年4月
5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月4月
+27.3+22.8+27.7+15.0+14.9+29.5+28.0+27.1+16.8+23.3+20.8+16.0
単位:万人

非農業部門雇用者数は、市場予想+20.0万人に対し+16.0万人と大幅に下回る弱い結果でした。ただ、非農業部門雇用者数の先行指標である4月ADP全国雇用者数が市場予想+19.5万人に対し+15.6万人と下振れていたこともあり、非農業部門雇用者数も市場予想を下振れるのではないかというマーケットの予想も多くあったようです。

非農業部門雇用者数が雇用安定拡大の目途となる+20万人を下回ったことについては、昨年の11月雇用統計・今年の1月雇用統計でも書きましたが、イエレンFRB議長が「毎月+10万人程度でも労働力への新規参入者を吸収できる」とコメントしていたことがあり、失業率が完全雇用に近い水準まで下がった現状では、月+10万人程度でも十分とみる向きもあるようです。

しかし、マーケットでは非農業部門雇用者数の伸び鈍化をそのまま評価し、6月FOMCでの利上げはほぼなくなった、あるいは年内1回、さらには今年中の利上げは無理だろうというネガティブな見方が主流のようです。

失業率は、市場予想4.9%に対して前月と同値の5.0%でしたが、依然完全雇用に近い水準といえそうです。

非農業部門雇用者数の民間の内訳と政府機関合計は、

項目2月3月4月
民間合計+22.2+18.4+17.1
財生産小計-2.0±0.0-0.3
建設業+1.3+4.1+0.1
製造業-1.6-2.9+0.4
サービス業小計+24.2+18.4+17.4
卸売業+0.24+0.97+0.27
小売業+5.2+3.9-0.31
輸送業+0.04+0.49+0.86
情報業+1.1+0.6±0.0
金融業+0.8+1.4+2.0
専門職+3.5+3.7+6.5
派遣業-0.22+0.93+0.93
教育・医療業+7.7+4.3+5.4
接客業+3.7+2.4+2.2
政府合計+1.1+2.4-1.1
総計+23.3+20.8+16.0
単位:万人

※重複等あるので各項目を合計しても総計にはなりません。

建設業は大きく減速しました。
製造業はドル高の影響でこれまでマイナスでしたが、為替がドル安に振れて4月はプラスに転換しました。
小売業はこれまで堅調でしたが、4月はマイナス転換しました。
卸売業・情報業、接客業は前月より減速しました。
輸送業・金融業・専門職・教育医療業は前月より改善しました。
派遣業は前月と同値でした。
政府部門はマイナスに転換しました。


失業率は前月と同値の5.0%で、完全雇用に近い低い水準でした。

労働参加率は、前月の63.0%に対し0.2ポイント減少し62.8%でした。労働参加率は昨年12月から増加していましたが、4月は減少しました。これについては、アメリカの高齢化を踏まえた長期トレンドで労働参加率はある程度で頭打ちになり、反転する可能性があるという見方があるようです。

平均賃金(一時間当たり賃金)は、前月の修正値25.45$から0.3%上昇し、25.53$でした。非農業部門雇用者数が弱い結果でしたが、平均賃金が上昇しているので、4月雇用統計はそれほど悲観的な結果ではないとする向きも一部にあるようです。

本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めたU6失業率は、前月から0.1ポイント減少し9.7%でした。

失業率の推移は、

米失業率の推移のグラフ2015年5月~2016年4月
5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月4月
5.55.35.35.15.15.05.05.04.94.95.05.0
単位:%


4月雇用統計は、非農業部門雇用者数が+16万人、失業率が5.0%と市場予想にとどかない弱い結果でした。この結果を受けて、マーケットでは6月FOMCでの利上げは難しく、9月FOMCでの1回もしくは年内利上げは無理というハト派的な見方が増えたようです。

一方で、以前イエレンFRB議長が述べていた非農業部門雇用者数は月+10万人程度でも十分という見解と、平均賃金の上昇をふまえて、6月FOMCでの利上げの可能性は残されているとみる向きも一部にあるようです。

4月雇用統計後のFOMC関係者のコメントとしては、ハト派でFOMC投票権持ちのダドリー・ニューヨーク連銀総裁が「今年2回の利上げが妥当な予想」「4月米雇用統計はさほど重要視するものでもない」と4月雇用統計の弱い結果は重要視しないと述べているのが注目されます。

4月雇用統計前なので参考意見ですが、最もハト派とみられるエバンス・シカゴ連銀総裁(FOMC投票権無し)は4月5日に「年内2回の利上げが適切」4月15日に「6月もしくはそれ以降の利上げは適切」などと述べており、かなりのハト派として知られるローゼングレン・ボストン連銀総裁(FOMC投票権有り)も4月18日に「過度に緩やかな利上げの道筋は正当化されず」「米利上げめぐる投資家の見通しは悲観的過ぎる」「市場が織り込む金利の道筋では過熱のリスクも」と述べており、ハト派内でもマーケットの利上げ予想を上回る利上げ見通しを持っていました。FOMCメンバーの利上げ見通しとマーケットの利上げ予想に再び乖離が広がっているようなので、経済指標の結果とあわせてその点にも注視していく必要があると思われます。